絵について 〜色を強く塗ること〜

今日は息子が中学生の時の美術の授業について振り返ってみます。当時受け持っていた美術の先生は、子ども達の絵に対して色を濃く塗るように指導していらっしゃいました。ところが息子はいつも「濃く塗るのは嫌だ」と言い薄く塗るのです。結果、デッサン技術は褒めてもらえても色の薄さで成績は今ひとつでした。その後娘も同じ先生に習いましたが、成績の良い生徒はみんな色を濃く塗る子ばかりだと言っていました。

私もアートセラピーのスクールに通いはじめの頃は全体の色がとても薄かったです。ところが、回数を重ねていくうち、だんだんと濃くなっていきました。意識してそうしたのではなく、講師に言われて気づいたことです。この事は一緒に学んだ同期生のみんなも同様でした。注)

このことから、色を塗る際の濃淡は「人にこうしなさい」と言われてそうなるのではなく、自然とそうなっていくことを証明しています。

実は、濃く塗るという事は※自分自身(内面)を強く表現するという事なのです。色を塗り込む時間は、とても心地良いひとときです。身体を目一杯自由に動かすように心をのびのびさせ気分を発散できます。なぜなら、それは上手下手に関係ないからです。誰も「こうしなさい」と言わないからです。そして、最初はカチカチだった心が回数を重ねるごとにほぐれやすくなっていくからです。カチカチの心とは何かと言うと、「こうしなければならない」「これは間違っている」などといった様々な縛りのある状態の心です。

ケアホームのご老人は、自分の好きな色で時間を忘れてずっと塗り込む行為をなさいます。私が「◯◯さんは△△色が好きなんですね?」と尋ねると笑顔で「そう」とおっしゃいます。痴呆症状から言葉が出にくくなってくるご老人は、逆に色を濃く塗りこむという行為が素直にでき、そのことで自分自身を表現しているんです。時間を忘れ没頭できるという様子から、ご本人にとってとても心地良い時間となっているのでしょうね!

次回は、色を濃く塗る行為が何故自分自身を強く表現する、と言えるのかその根拠をお話しします。

注)もちろん、一枚の絵に濃淡は存在します。強く表現したい所が濃くなると言うことです。